読みものcolumn

【売り場の伝え手vol.6】「つくる」「食べる」は万国共通。日本の道具で、笑顔を韓国の食卓へ

文/藤沢 あかり


新潟・燕三条の作り手が培ってきた知識と技術で、暮らしの道具を生み出す「家事問屋」。2015年にスタートし、現在のお取り扱いは全国約300店に広がりました。

わたしたちの想いを受け取り、さらに売り手の視点を交えて伝えてくださるお店があることで、家事問屋の製品はより広く、深くお届けできています。

この読みものでは、家事問屋のお取り扱い店をご紹介。
その想いや背景を知ることで、お店自体にも興味を持っていただけたらうれしいです。

今回は少し足を伸ばして海の向こう、おとなり韓国へ。大邱(テグ)に店を構える「TOOLS COMPANY(ツールズカンパニー)」です。
大邱は、ソウル、釜山に次ぐ韓国第三の都市。人口も規模も、日本に例えるとちょうど名古屋くらいのところだそう。ツールズカンパニーは、そんな大邱の中心部から少し離れた、住宅とカフェが立ち並ぶ静かなエリアにあります。

この店で扱うのは、さまざまなキッチンツールやうつわなど、食卓を支えるアイテムたち。日本のものを中心に、メーカー品だけでなく地方の窯元や作家ものの作品なども扱っています。実は家事問屋にとっては、数少ない海外でのお取り扱い店。圧巻のラインナップで家事問屋の魅力を、日々お伝えくださっています。

切り盛りするのは、「同じ釜の飯を食ってきた」という大邱出身の三兄弟。そのうちのひとり、代表のキムジュンウさんにお話をお聞きしました。

日本のすぐれたキッチン道具を、韓国の人たちに知ってほしい

キムさん
「僕たち兄弟は、もともと大家族。祖父も一緒に暮らしていたので、いつもにぎやかに食卓を囲んでいました。それぞれが進学や就職で独立してからはバラバラになりましたが、大人になるとまた近くに住み、一緒にごはんを食べるようになりました。

みんなでおいしいごはんを食べたり、お酒を飲んだり。そんな時間がなにより大切です。キッチンに立つ機会が増えるにつれ、すぐれたデザインで実用的なもの、長く使えるものを探すようになり、日本のキッチン道具に出会いました。やがて、その良さをもっと知ってもらいたい、韓国に広めたいという気持ちが大きくなり、2016年にこの店を始めました」

使い勝手もデザインも、日本の気配りが満ちています

「韓国にもすばらしいキッチン道具はたくさんありますが、日本の道具はデザインも豊富で、細やかな気配りが詰まっています。たとえば家事問屋の『パスタメジャー』や『黄身分け』。こういった、ちいさなもやもやを解決するようなものは、韓国にはあまり見られません。うちでは20代のお客さまによく選ばれています。

細かいところに気が利く一方で、用途を限定せず、幅広いシーンで使えるのも家事問屋のいいところだと思います。『あんベラ』なんて、まさにそう。

『オーバルすくいザル』は、野菜や麺類を茹でるときだけでなく、味噌を溶くときにも使っています。目が細かいので、ちょうどいいんです。
韓国にも味噌汁があるんですよ。ネギや玉ねぎ、豆腐、大根、肉などのたくさんの具をぐつぐつ煮込んで作ります。味もちょっと日本より濃いめかもしれませんね」

「『小分けボウル』や『小分け調味ボウル』も、料理のときには欠かせません。韓国に、鶏肉を甘辛いソースで煮込んだ『タッポックムタン』という家庭料理があります。こっちではコチュジャンを使うことが多いので、調味料を合わせるときにも小分け調味ボウルがあると便利ですし、やはりステンレスは使いやすいです。韓国にもステンレスの道具はたくさんありますが、家事問屋は質もデザインも申し分なしです」

「家事問屋のアイテムは、機能性だけでなく、つなぎ目や角の処理など、細かな部分まで、とても気をつかって作られていますね。

初めて工場を見学させてもらったときに、作業パートがしっかり分かれていることに驚きました。作り手がひとつの作業に集中できるし、エキスパートになる。このシステムも、クオリティの高さにつながっているのですよね」

道具は実際に使って試して、実感してこそわかる良さがある

今年3月、ツールズカンパニーでは初めて家事問屋のワークショップイベントを開催しました。お客さまに実際に使っていただきながら、家事問屋の魅力を直接お伝えするイベントです。会場は大盛況、多くの方にお越しいただきました。

「『ホットパン』と『パニーニパン』は、実際に触ってもらうと印象がぐんと変わりますね。具材をたくさん入れたホットサンドやパニーニをお客さまと一緒に作り、そのおいしさを堪能してもらいました。 ほかにも、『パスタメジャー』で実際にパスタを計量したり、『柑橘皮むき』でオレンジをむいてもらったり。『黄身分け』も、自分で試すとおもしろいですよね」

▲開発と営業を担当する久保寺も現地入り。言葉の壁を越え、「おいしい」をまんなかにしたコミュニケーションが生まれました

「家事問屋のアイテムは、韓国製のものに比べて割高です。でも、使い勝手や上質なつくり、デザインなど、自分たちがこれまで使っていたものとは違うのだと実感して選んでいただいています。

安いものは気軽に買えますが、どうしても使っていくうちに劣化し、クオリティが落ちていきます。だからこそ、ずっと同じように長く使い続けられる家事問屋のアイテムは、すばらしいなと思います」

現代の暮らしに、食卓のよろこびをもっと伝えたい

日本で生まれたわたしたちのキッチン道具が、便利さを実感してもらえたり、思いがけない使い方で愛されていたり。その背景にあるのは、おいしいものを作って食べるという、いつの時代も変わらない根源的な営みです。それは、国や文化が違っても同じこと。

キムさんには2人のお子さんがいます。子どもたちに朝ごはんをつくり、保育園に送り届けるのはキムさんの役割なのだそうです。

「毎朝、ホットパンが大活躍しています。熱伝導が良く焼き上がるのが早いし、カチッと留まってずれないから、忙しい朝でもストレスなく作れます。ハムやチーズなど簡単なものを挟むだけで、外はカリッと中はしっとりの特別なホットサンドになるから、子どもたちも耳までおいしいと食べてくれるんです。

現代人は忙しく暮らす人がほとんど。だからこそ、家の中で過ごす時間が重要になっていると思います。僕も家族でおいしいものを食べる時間が大好きだし、大切にしたいです。キッチンツールを通じた体験が、お客さまのしあわせを感じる時間につながれば、こんなにうれしいことはありません」

読みもの登場製品

パスタメジャー

価格:1,100円(税込)

黄身分け

価格:990円(税込)

あんベラ

価格:440円(税込)

オーバルすくいザル

価格:990円(税込)

小分けボウル 13

価格:770円(税込)

小分け調味ボウル 8

価格:1,100円(税込)

柑橘皮むき

価格:1,760円(税込)

ホットパン(レシピBOOK付き)

価格:15,400円(税込)

パニーニパン

価格:17,600円(税込)

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