読みものcolumn

【売り場の伝え手vol.5】「買い物」から「体験」へ。手から手へとつなぐ暮らしの哲学

新潟・燕三条の作り手が培ってきた知識と技術で、暮らしの道具を生み出す「家事問屋」。2015年にスタートし、現在のお取り扱いは全国約300店に広がりました。

わたしたちの想いを受け取り、さらに売り手の視点を交えて伝えてくださるお店があることで、家事問屋の製品はより広く、深くお届けできています。

この読みものでは、家事問屋のお取り扱い店をご紹介。
その想いや背景を知ることで、お店自体にも興味を持っていただけたらうれしいです。

佐賀県佐賀市呉服元町。古くは城下町として栄えたこの場所に、歴史ある古民家を受け継いで生まれた2軒のお店があります。それがカフェ&雑貨「shironeri(シロネリ)」と、姉妹店である体験型ショップ「ReLife(リライフ)」です。

shironeriでは、地元食材と体にやさしい調味料を使った食を届けるカフェに、生活を豊かにする日常の道具が揃うショップコーナーを併設。さらにReLifeでは、その道具を使った料理教室やワークショップを開催しています。

どちらの店も、お客さまに伝えているのは、「UNSTANDARD LIFE」、日常にある「ふつう」や「あたりまえ」を手放すということ。そして、それを別の角度から見つめたり、誰かと一緒に考え語り合ったりできる「やわらかな居場所」を目指しています。

この2店舗の立ち上げに携わり、カフェの厨房や料理教室を担当する蒲原ひかりさんとバイヤーの遠藤美帆さんに、お気に入りの家事問屋アイテムや、お客さまとの関わり合いで大切にしていることなどをお聞きしました。

カフェの厨房も、家庭のキッチンも。どちらでも活躍する家事問屋のアイテム

蒲原さん
「管理栄養士の学校に通っていたこともあり、キッチン道具は丈夫で清潔なステンレスが好きでした。お店を始める以前からチーズケーキの生地をこすために、家事問屋のだし・スープこしを使っていたんです。カフェのメニューに加わった今も、同じように使い続けています。もっと大きい業務用を使えば効率よくできるのかもしれませんが、これじゃないとダメなんです。毎日、何度もぎゅっと力を込めてこしても網部分がボロボロにならず、丈夫に使えて、洗いやすい。

カフェで雑貨も並べようと決めたときに、バイヤーの遠藤と『自分たちが好きなものが並んでいたら楽しいし、うれしいよね』と話し、家事問屋のお取り扱いを決めました」

だし・スープこし 綾織り

価格:1,430円(税込)

蒲原さん
「ReLifeで開いている料理教室やワークショップなどのイベントでは、わたしが普段、仕込みや調理に使っていて、かつお店でもお取り扱いをしている道具を実際に使っています。先日はラー油作りの教室で、下ごしらえボウルに熱く熱した油をジュッと注いだら、『そのボウルが欲しい!』という声がたくさん。高温に耐えて、におい移りもほとんどないから、普段の和食にもラー油作りにも使えるんです。説得力があるし、わたしたちも心から、これいいですよ!ってお伝えできるのはうれしいですね」

下ごしらえボウル 13

価格:1,870円(税込)

遠藤さん
「お客さまと雑談のような感じで、『これ、こんなふうに便利なんですよ〜』っておしゃべりしながらお買い上げいただくことも多いです。ときには蒲原もキッチンの奥から出てきて、使い勝手を熱く語っています。

二人とも子育てをしているので、限られた時間の中でパッとおいしく作れて、お手入れも簡単、というアイテムは特に力説したくなります。パニーニパンでお肉を焼いたら、おいしいだけじゃなく油はねが少なくてコンロ掃除が楽だとか、蒸しかごでベーグルやシュウマイを蒸したら手軽なのにおいしさが段違いだとか。どうしよう、挙げ出したらキリがないし、どんどん熱くなりそうです(笑)」

蒸しかご

価格:2,750円(税込)

蒲原さん
「わたしもたくさんありますが、特によく使うのは盆ザルと、まる型トレーのセットです。さっと洗ったいちごや茹で野菜もそのままテーブルに出せるし、ほかにも茹でて絞ったほうれん草、素麺やお蕎麦、焼き上がったばかりの熱々のだし巻き卵、焼いたチキン……。とにかくなんでも、汁気や油をいい具合に切れるんです。アイテムをたくさん揃えなくても、この盆ザルとトレーがあれば幅広いお料理に対応できますよ。

トレーは立ち上がりのおかげで、お皿としても優秀です。カレーやガパオライス、目玉焼きを乗せたナポリタン……ワンプレート料理にぴったりです。縁の部分が熱くなりにくいので手を添えやすいし、落としても割れないから小さい子にも安心して使ってもらえます。

デザインもシンプルなので、使ったあとも洗って拭いて、また使って……がとてもスムーズ。収納する時もかさばらないので、とにかくストレスなく気持ちよく使えるアイテムです。うちでは16、19、22cmと3サイズ揃えて、書類ケースに立てて収納しています。視覚的にもすっきりしていると、料理もやる気になれますよね」

用途の先にあるお手入れまで考えた、寄り添い姿勢

遠藤さん
「わたしはスリム水切りバスケットで、劇的に暮らしがラクになりました。以前使っていた水切りカゴは、受け皿の水を捨てる作業が苦痛で手放してしまったんです。でも洗ったあとにすぐ食器を拭いてしまうのは続かないし、水切りマットで代用してみても、結局出しっぱなし、濡れっぱなしで不衛生。
やっぱり水切りカゴがある方が便利かな、でも、すっきりミニマルに暮らしたいな……と思っていたときに選んだのが、スリム水切りバスケットです。

トレーにしっかり角度がついているので、水が自然とシンクに流れるうえ、水切れがいいので水垢もたまりにくいんです。水切りという用途だけでなく、その先の水を捨てる手間やお手入れのことまで考えてくれているんですよね。家事問屋のサイトに『使い手の声に耳を傾ける。作り手と使い手に寄り添う』とありましたが、想いと製品とがほんとうに一致しているんだと感動しました」

スリム水切りバスケット 47

価格:9,350円(税込)

スリム水切りバスケット 55

価格:9,900円(税込)

蒲原さん
「パンチングあくとりも、余分なアクを取るのに特化しているだけあって、とにかく使いやすいです。場所柄、お客さまには農家さんも多いので春になるとたくさんいちごをいただきますし、お店でも家でも、よくジャムを作ります。ただアクをすくいたいのに、おいしい部分もどんどんすくってしまって……。でも、パンチングあくとりなら大丈夫。

この角度も絶妙なんですよね。農家さんにプレゼントしたら感激されました。旬の時期は、どうやってたくさんの量をおいしく食べきろうかと悩む人も多いんです。ジャムは、その知恵のひとつですよね。趣味というよりも、迫られて作っている方たちにも喜んでいただけるあくとりです」

パンチングあくとり

価格:990円(税込)

遠藤さん
「以前、パンチングあくとりを自分用に購入されたお客さまが、その後4本追加で買ってくださったことがありました。この感動をほかの人にも伝えたいから、ご近所に配るんだと言って。わたしたちの体験を聞いて買ってくださって、それを使って『よかったよ』という声をまた届けてもらえて」

蒲原さん
「商品が売れること以上に、そうしたやりとりを通じてお客さまと繋がって、その暮らしに寄り添えることがうれしいです。毎日使う家事の道具だからこそ、その家庭に近い存在でいられるのだと思います」

一緒に使うことで、楽しさも便利さも共有できる

体験型ショップのReLifeでは家事問屋をはじめ、さまざまなメーカーとのコラボレーションイベントも行われ、最近ではホットパンの実演販売が人気を博しました。

蒲原さん
「『つかってためせて食せる よいくらし』をテーマに、家事問屋の久保寺さんにもお越しいただきました。事前予約制でしたが、飛び込みの参加者も加わって会場はパンク状態で大盛り上がりだったんです」

蒲原さん
「大人も子どももみんなで手を動かし作って、実際に食べてみることで楽しさや便利さを共有し、体感していただけました。『わあ、こんなに具材を挟んでも大丈夫なの?』ってびっくりしてもらえたり、耳までのおいしさを味わってもらえたり。

小学生の男の子と参加した方が、後日『息子が楽しそうに働く人たちを見て、かっこいいし、こんな大人になりたいと話していた』と感想を寄せてくださったんです。そう思ってもらえることも、それを言葉にしてきちんと伝えてくださることもうれしかったですね」

ホットパン(レシピBOOK付き)

価格:15,400円(税込)

熱意と愛情を持ち続けながら、周囲と一緒に心躍る場所に

最後に、お店をつくっていくうえでの二人のフィロソフィー(哲学、大切にしたい考え)を教えてくれました。それは、「熱意に囲まれ、一緒に心を躍らせる」ということ。

蒲原さん
「まずは自分たちが熱意と愛情を、お客さま、関わってくださる企業や業者さんなど、周囲の人たちに持ち続けていきたいです。そうすれば、自然と一緒に熱意を持った人たちに囲まれていくし、一緒に心躍るように楽しめる状態も作っていけるのだと思います。

並んでいる商品は、ここでなくても買えます。だからこそ、ものを売るのではなく、その人にぴたっとはまるようなストーリーを届けるような気持ちで、これからも伝えていきたいです」

使っている人からその様子を聞き、手触りを確かめ、納得して手に入れるということは、「お金と交換して物を手に入れる」という物理的な行為を飛び越えた「体験」となります。

そうして使い勝手はもちろんのこと、交わした会話やその日の空気、感情までもが、わたしたちの心と生活に刻み込まれていき、物はストーリーとなります。
日常に欠かせない買い物。その買い物で、日常を楽しく豊かに変える体験を味わいに、ぜひ足を運んでみてください。

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