読みものcolumn

【わたしの家事問屋 vol.6】わたしたちの選んだ道具が、次の世代にも受け継がれる日を想像しながら

文/藤沢あかり


設計から素材選び、作り手による加工や仕上げまで、さまざまな思いと技術を込めてつくられる家事問屋の製品。でも、製品としての完成はゴールではありません。ほんとうの始まりは、使い手に「わたしの道具」と感じてもらってからです。

この読み物では、家事問屋を生活に取り入れている方々に、アイテムを選んだ理由や使い勝手をうかがいます。家事問屋の製品は、暮らしのなかでどのように活躍しているのでしょうか。

壊れず長く、飽きずに使えるシンプルな道具を選びたい

材木を運ぶ音や、木を切る音、コロッケを揚げる音、そして子どもの笑い声。

楽しそうな暮らしの音が聞こえてくるのは、夫婦で家具工房「nikom(ニコム)」を営むnaokoさんのお宅です。もとは救命胴衣をつくる職人さんの仕事場兼自宅だったというこの古い一軒家を譲り受けたのは、約12年前。そこからは住みながら壁を壊したり塗り直したり、畳をはがしてフローリングに張り替えたり。いまも現在進行形で、住まいを整えながら暮らしています。

ブランド名の「nikom(ニコム)」は、naokoさんのルーツでもあるアイヌの「木の芽」を意味する言葉。自分たちの届ける家具から、あらたな芽吹きが生まれ、花開くような出会いへの願いが込められているそうです。

「日用品も、家具と同じだと思っています。道具としてきちんと壊れず使い続けられるもの、そして長く使っていても飽きのこないシンプルなもの。家具作りの考えに近いものを、夫婦ともに選ぶようになり、自然とおさまったのが家事問屋さんのキッチン雑貨でした」

「実はお料理が苦手なんです」と、話すnaokoさんですが、4歳になったばかりの息子さんには、いつもおいしく、楽しく食べてほしいとキッチンに立っています。

「要領が悪いのかな、パパっとできないんです。だからこそ道具は使い勝手が良く、心から気に入ったもの、自分が楽しんで料理ができると思えるものを選びたいです」

仕事も子育ても、じっくりと。そんな暮らしのなかで活躍する、家事問屋のお気に入りアイテムを教えていただきました。

小さな息子との食卓にちょうどいい、小さなスリムバット

「息子の好物がコロッケなんです。『スリムバット』と『アミ』は、ちょうどコロッケが3つ並ぶ大きさ。好物といってもまだ4歳なので、そんなにたくさんは食べられず、この大きさがぴったりです。

もも肉1枚分くらいの唐揚げも、これならちょうどいいサイズ。スリムバットでお肉に下味をつけたり、魚のムニエルの下ごしらえをしたり。

下ごしらえと調理がこの2つで完結するし、ステンレスなので洗うのもラク。大きいサイズのバットよりも使いやすいです」

大人も子どもも毎日使える、その丈夫さも魅力です

「うちの息子、赤ちゃんのときから食いしん坊なんです(笑)。小さいときから『3分クッキング』を見るのが好きで、わたしの調理中も隣でよく見ています。

最近は、自分でやりたがることも増え、あるときターナーを振り回して壊しちゃったんです。もっとしっかりとした使いやすいものに買い替えようと選びに行ったとき、夫婦で『絶対これだね!』と一致したのが、この穴あきターナーでした。

薄いので食べ物の下からスムーズにすくえるし、しなり具合も最高。黒とステンレスの組み合わせもシンプルだし、つくりもしっかり。これなら息子にも安心して使わせられます」

「お玉も毎日のお味噌汁に使っています。中サイズは、おわんに注ぐときの量がちょうどいいんです。これもしっかりとした素材で、息子が少々荒っぽく使ってもだいじょうぶです。

木のお玉なら自分たちでつくることもできますが、やっぱりステンレスの丈夫さ、お手入れの気楽さってありますね。毎日ガシガシ使って、洗ってを繰り返しています」

毎日の食卓をそっと支える「小さなおてて」

「最近あらたに仲間入りしたのは、薬味トングです。売り場で息子が、(映画『崖の下のポニョ』の)『ポニョの手みたい!』って見つけて、ほんとうだ、かわいいね〜って手に取りました。

使ってみたら、卓上で保存容器からお漬物をつかむのにぴったり。毎日食卓で使っています。いまの時期、ご近所さんからたくさんキュウリをいただくので、塩や塩麹でシンプルな浅漬けをたくさんつくるんです。サラダのように子どももパリパリ食べられるお漬物。もちろん浅漬け板が活躍しています」

次の世代へ受け継いでもらえるものづくりを目指して

ものがあふれ、小さな日用品ひとつにも選択肢が無限にある、いまの時代。naokoさんは、買い物をするときに心に留めていることがあるそうです。

「デザインだけでなく、どんなメーカーなんだろう、どんな人が作っているんだろうということに自然と目がいくようになりました。

家事問屋さんは、燕三条の職人さんたちが作っているんですよね。ホームページを見ると、職人さんたちの写真が載っていて、かっこいいなと思いました。夫は家具職人ですし、わたしも一緒にものづくりに携わるなかで、どういう人が、どういう思いで作っているのかが知りたいし、できるだけ共感できるものを使っていきたいです」

「ヴィンテージやアンティークというかたちで残る家具や雑貨は、つくりのいいものばかりです。わたしたちの家具も、そうやって修理を重ねながらも、子ども、孫、その先まで長く使っていただけるものでありたいなと思います。

キッチン道具のような日用品も同じですよね。ちょっと使って、壊れたり飽きたりしたら買い替える、という買い物にならないよう、じっくり選びたいです」

すっかり大人になった今、ふと子ども時代に使っていた家具や、いつも見ていた鍋やお玉があるキッチンの景色を思い出すことがあります。

お父さんとお母さんがつくる家具、親子で一緒に使うキッチン道具。いつかの記憶に残るのは、きっと、毎日のこんな何気ない日常です。

読みもの登場製品

スリムバット

価格:990円(税込)

スリムバット用アミ

価格:550円(税込)

穴あきターナー

価格:1,650円(税込)

お玉 中 サテン

価格:1,650円(税込)

薬味トング

価格:660円(税込)

浅漬け板

価格:2,750円(税込)

pagetop