読みものcolumn

【わたしの家事問屋 vol.4 】丈夫で飽きない暮らしの道具。長く使い続けることが、子どもたちの未来をつくる

文/藤沢 あかり


設計から素材選び、作り手による加工や仕上げまで、さまざまな思いと技術を込めてつくられる家事問屋の製品。でも、製品としての完成はゴールではありません。ほんとうの始まりは「使い手」に渡ってからです。

この読みものでは、家事問屋を暮らしに取り入れている方々に、アイテムを選んだ理由や使い勝手をうかがいます。家事問屋の製品は、暮らしのなかでどのように活躍しているのでしょうか。

自分らしく、使いやすく。心から納得できるものだけを選びたい

「キッチン雑貨のお店で働いていたこともあるくらい。台所は家の中で、いちばん大好きな場所です」

まさに台所という呼び名がぴったりくるolivier(@piccoli.k)さんの大切な居場所には、大きな窓とピカピカのシンク。そして毎日の料理に欠かせないという大小の鋳物鍋をはじめ、使い込まれた道具がずらりと並んでいました。
働きながら育てた三姉妹はそれぞれに社会人となり、長女は独立。現在は夫とふたりの子ども、そして愛犬ふくちゃんと一緒に暮らしています。

「わが家は築約30年くらいでしょうか。定期的に持ち物を見直したり、置き場所を変えたりしながら使いやすい台所にしてきました。先日は古くなったシンク下のドアを、思い切って外してみたら、出し入れがスムーズに。これなら、せっかく揃えたお気に入りの道具と、いつでも目が合うのもうれしいです」

棚も引き出しも、すべての道具がひと目で見渡せる収納スタイルを心がけています

暮らしの道具は妥協せず、心から納得できるものだけを。これは、olivierさんが長く大切にしてきたことです。

「長く使えるもの、飽きのこないものを選ぶうちに、自然と鋳物やステンレス、木の素材が増えてきました。若いころは、安さだけで飛びついては使い勝手が気に入らず……ということもありましたが、最近は、少々高くても信頼できるものを選んでいます。家事は楽しいだけじゃなく面倒なときもたくさん。でも、お気に入りの道具ならお手入れしたいと思えるし、自然と楽しい気持ちになれるんです」

求めたいのは家事の時短や手軽さより、気持ちを上げて楽しく取り組めること。使いやすい道具は、そうしたシーンに寄り添い、結果的に家事をスムーズに、効率よく回す助けとなるのです。

調理中の小さなストレスを、陰でそっと支える働き者

たとえば、煮込み料理。レンジを使った時短調理は便利だけれど、ル・クルーゼやストウブといったお気に入りの鋳物鍋を使えば、時間が手間ではなく楽しみに変わります。

「ご飯を炊いたり、肉じゃがやカレーを煮込んだり、ぜんぶ鋳物のお鍋です。おいしく仕上がるし、冬はストーブの上でじっくり調理するのもいいんですよ」

ただひとつ、鋳物鍋には悩ましい点がありました。それが蓋の置き場です。

「蓋が重く、大きいものだと場所も取ります。コンロ周りは邪魔になるので、一旦テーブルに逃がしたり、無理やり立てかけたり……。なにかいい道具はないかと探していたときに、家事問屋の『鍋蓋置き』を知りました」

「大きな鋳物の蓋もしっかり受け止めてくれるんです。こんなに小さくてすっきりしたデザインなのに、びっくりしました。それに、シンプルな形だから洗うときも楽だし、フックに引っ掛けておけばすぐ乾きます。熱い鋳物の蓋も、スタンドなら片手でポンと置きやすいです」

もうひとつのお気に入りの使い方は、まな板の乾燥スタンドとして。

「木のまな板は、しっかり洗ったあと、拭き上げてからここに。浮かせておけて、ちょうどいいサイズ感なんです。完全に乾いたら、まな板立てへ。木のまな板はお手入れが大切だと聞いて、無理なくきちんとできる仕組みを考えました。おかげでまな板はいつもサラサラ、気持ちがいいです」

安定感のあるディッシュスタンドを、自由な発想で

「ディッシュスタンド」も、シンプルなつくりだからこそ、自由な発想で使っています。

「お皿を立てるワイヤー製のスタンドですが、気軽に使える水切りカゴにしています。大きな水切りカゴはシンク上に置きっぱなしにせず、必要なときだけ出しているんです。

これはワイヤーがしっかりしていて、安定感があります。ひとり分の食器やちょっと使ったグラスなど、さっと洗ってしまいたいものにぴったり。水筒やガラスジャーも置きやすいし、大きなほうろうの洗い桶も置けたのには感激しました」

小ぶりでかさばらないスリム泡立て

「スリム泡立ても、お気に入りです。以前使っていたものはワイヤー部分が大きくて、引き出しのなかでかさばっていましたが、これに変えたらすっきりしました。ワイヤーに弾力があってしっかりしていますよね。

卵焼きや茶碗蒸しの卵をかき混ぜたり、お好み焼きやたこ焼きのような粉物を混ぜたりと大活躍です。それから、お味噌をすくう道具としても。これでくるっとすると適量を取れて、溶きやすいんですよ」

子どもたちにつないでいきたい、台所の道具

三姉妹を育ててきたolivierさん。振り返ると子育ては、「未来」について考える始まりでもありました。

「子どもたちが生きる未来に、いい環境を残していきたいと思うようになりました。最近は環境問題が取り上げられることも増えましたし、SNSで気軽にできるアクションを知る機会も多いです。食器洗いのスポンジからプラスチックが流れ出ていると知り、代わりにガラ紡糸で編んだたわしを作ったり、へちまスポンジに変えてみたり。小さなことですが、なにもしないよりいいかなと思っています」

「家事問屋のアイテムは、そういった意味でも選ぶ理由のひとつになっているのかもしれません。質が良いので錆びつくことなく長く使い続けられて、飽きのこないデザイン。一生物という気持ちで揃えています。
『高い=良いもの』とは限りませんが、やはりある程度の値段と質は比例するのを実感しています。安価なプラスチック製だと、残念ながら長くは使い続けられないんですよね」

olivierさんは、その思いを少しずつ、子どもたちにも手渡し始めていました。

「長女が結婚するとき、鋳物鍋と一緒に家事問屋の『鍋蓋置き』を贈りました。うちの台所では欠かせないものだし、娘も絶対に欲しい!って。いつもうちで使っていた姿を見ていたでしょうし、同じように長く活用してもらえたらうれしいですね」

今日も台所では、鋳物の鍋がコトコトと音を立てています。そのかたわらでは、「鍋蓋置き」が静かに出番を待っていました。

読みもの登場製品

鍋蓋置き

価格:1,980円(税込)

ディッシュスタンド 18

価格:2,530円(税込)

ディッシュスタンド 26

価格:3,300円(税込)

スリム泡立て

価格:1,540円(税込)

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