【わたしの家事問屋 vol.5】家族みんなで使いやすい。生活感が味わいになる暮らしの道具選び
文/藤沢 あかり
設計から素材選び、作り手による加工や仕上げまで、さまざまな思いと技術を込めてつくられる家事問屋の製品。でも、製品としての完成はゴールではありません。ほんとうの始まりは「使い手」に渡ってからです。
この読みものでは、家事問屋を暮らしに取り入れている方々に、アイテムを選んだ理由や使い勝手をうかがいます。家事問屋の製品は、暮らしのなかでどのように活躍しているのでしょうか。
目次
自分の目と手が行き届く、風通しのいい暮らし
畳に押し入れ、土間スペース。「おばあちゃんのおうちみたいな雰囲気」という平屋が、今回の使い手、mahoさんのお住まいです。
今年3月、家族の思いを詰め込んで建てた一軒家を手放し、この築約30年の平屋に移り住んできました。
「収納スペースも部屋数もたくさん作り込んだ家でしたが、もう少し自分の目が行き届き、管理できる範囲で暮らしたいと思うようになりました。大好きな家でしたが、夫の転職を機に、もっと小さい平屋で暮らしてみることにしたんです」
住まいの広さは、以前に比べるとぐんとコンパクトになりました。しかし昔ながらのつくりの家は、ふすまをはずせば、ほぼワンルーム。リビングから寝室へ、そしてキッズルームへと、用途や子どもの成長に合わせられる自由さがあります。たくさんの収納スペースに詰め込んでいた持ち物も、よく使うものやお気に入りだけに厳選し、風通しの良いあたらしい暮らしが始まりました。
「道具は汎用性が高いものを選びたいです。少しコストが高くても、あれにも使える!って発見があるものは結果的に長く使えます。買ったあと、自分で使いかたを考える余白も楽しいです。
ただし、好きなものを増やす楽しみも残したいので、大好きなかごと台所道具だけは気に入れば買い足してOKと自分に許しています」
家事問屋は、そんなmahoさんの暮らしかたにもぴたりと収まったようです。
「家事問屋さんのアイテムは、シンプルで丈夫。デザインもスタイリッシュだし、使うひとを選ばないところもいいなと思います。銅のフライパンや作家ものの木の道具も好きですが、夫はちょっと気をつかうみたい。みんなで暮らす家なので、キッチンの道具は誰もが使えるバランスも大切にしたいです」
とりわけスプーンにフライパンカバー、調理トング、壁付けふきん掛け……気づけばたくさん集まってきたというお気に入りのなかから、今回は特に活躍している3つを教えてもらいました。
調理をスムーズに回してくれる小さな働きもの
「せいろを買ってから、蒸し野菜をよく作るようになりました。そこで欠かせないのが『味見スプーン』。おいもやにんじん、れんこんなどの根菜が柔らかくなったか確認するのにぴったりです。
ほかにもヨーグルトメーカーでヨーグルトや塩麹を作るときにかき混ぜたり、ドリンクのマドラー代わりにしたり。あまりにも使用頻度が高いので、すぐにもう1本買い足しました」
揚げ物がラクになるシステムバットの使い方
蒸し野菜は下ごしらえのひとつとして、一気にたくさん作って保存しています。
「『システムバット』に『下ごしらえ角ザル』をセットして蒸し野菜を保存しています。このままメイン料理に添えるだけで副菜にもなるし、子どもの『お腹すいた〜!』に、すぐ対応できるんです」
「揚げ物のときにも便利です。揚げ物はなるべくまとめて済ませたいので、唐揚げのついでに春巻きや野菜の素揚などを一緒に揚げてしまいます。『下ごしらえ角ザル』があるので、油を切りながら直接入れて、冷めたら蓋をして保存容器として。
ステンレスの『菜箸』も揚げ物のときには必ず使います。木の菜箸だと衣がくっついて洗うのが大変ですが、これなら大丈夫。道具のおかげで揚げ物のハードルが下がってうれしいです」
子どもとつくるホットサンドで休日の朝を特別に
「休日、ちょっと特別感のある朝ごはんを楽しみたいときに登場するのが『ホットパン』です。思う存分具材をのせても、ぎゅっと閉じればきれいに仕上がるので、子どもが作ってくれる日も。『そんなに入れちゃダメだよ〜!』なんて言わずにおまかせできるのもうれしいですよね。
実は、ホットサンドメーカーに1万円以上するのはちょっと……と、長い間ためらっていました。あるとき、ちょっと冒険してみたい気持ちになったんでしょうね。思い切って買ってみたら、想像以上に大活躍。耳までおいしくて感動しました」
「娘たちのお気に入りは、りんごと豚肉とチーズのホットサンド。『青葉家のテーブル』というドラマに出てきたメニューをアレンジしたものです。親子でくり返し見た大好きなドラマなので、うれしそうに食べてくれます」
年長と年中、年子の姉妹は食べることが大好き。だからいつも、「どうやって作っているんだろう?」と、興味津々で台所に顔を出すのだそうです。
「お手伝いしたいと言ってくれる気持ちをできるだけ大切にしたいので、『ちょっとこれ混ぜておいてね』って気軽に渡せる道具だと、わたしも子どももうれしいです。ちょっとぐらい落としたりぶつけたりしたって、家事問屋さんなら安心。それに、少しの傷やへこみができたって、それも生活しているからこその味わいだと思えます」
生活感は、家族と暮らしている証
等身大の日常を写真や動画に収め、発信しているmahoさんですが、以前は子育てにも家仕事にも完璧さを求めて、すこし窮屈になっていたといいます。
「収納もぜんぶ白いボックスに統一して、生活感を少しでもなくそうとしていました。でもそうしたら、家族はどこに何があるのか分かりづらくなってしまって。あるとき、もういいやとあきらめてみたら、消したいと思っていた生活感が、自分にとっては落ち着く気がしたんです」
家族で暮らしているのだから、生活感が出るのは当たり前。そこでmahoさんは、それをとことん楽しもうと決めました。おもちゃや道具が出しっぱなしでもいい。その代わりに目に触れる場所はできるだけ好きなものを選ぶことにしました。丈夫でシンプルなステンレスのキッチン道具、大好きなかご素材、質感が気持ちいいリネンのキッチンクロス。
「もちろん家族4人、それぞれに好きなものがあるので統一することはできません。娘のピンクの靴下が干してあったり、夫が飲んだビールの空き缶が残っていたり。でも、そういう一つひとつがあることで、家にひとりのときも家族の気配を感じられます。誰かが一緒に暮らしていることが伝わる、これがわが家の『生活感』です」
たくさんぶら下がる部屋干しや、洗い上がった食器の山。生活をしているからこそ見られる、いつもの景色、いつもの日常。mahoさんの視点を借りれば、小さな靴下や食べこぼしの跡も、なんだか愛しくなりそうです。
読みもの登場製品
味見スプーン
価格:770円(税込)
システムバット 1/2 (樹脂フタ付き)
価格:2,530円(税込)
下ごしらえ角ザル 1/2
価格:1,430円(税込)
菜箸
価格:3,080円(税込)
ホットパン(レシピBOOK付き)
価格:15,400円(税込)