【売り場の伝え手vol.9】キッチンに立つよろこびと楽しさを伝えたい。暮らしを支える道具の発信地。
文/藤沢 あかり
新潟・燕三条の作り手が培ってきた知識と技術で、暮らしの道具を生み出す「家事問屋」。2015年にスタートし、現在のお取り扱いは全国約300店に広がりました。
わたしたちの想いを受け取り、さらに売り手の視点を交えて伝えてくださるお店があることで、家事問屋の製品はより広く、深くお届けできています。
この読みものでは、家事問屋のお取り扱い店をご紹介。
その想いや背景を知ることで、お店自体にも興味を持っていただけたらうれしいです。

福岡市・白金に店を構えるキッチン道具専門店「キッチンパラダイス」。店主の田中文(あや)さんをはじめ、スタッフが実際に使って納得し、「これからの世に残していきたい」と思える道具だけを厳選して紹介しているお店です。
「日本にも、安心してキッチン道具を選べる店が欲しい」。その思いでスタートした店は、今年で26年目を迎えました。
目次
見た目も実用もあきらめない、長く使えるキッチン道具を
きっかけは、田中さんが自分のキッチンを持つようになったときのこと。当時のキッチン道具は、実直なものはおしゃれさに、そしておしゃれなものは実用性に欠けるのが常でした。さらに売り場に足を運んでも、専門的な知識を持つ店員さんにはなかなか出会えません。
そんなときに思い出したのは、かつて留学先のアメリカで目にしたキッチン道具の専門店です。豊富な品揃えと、知識の深いスタッフ。料理好きのベテランから初心者、もちろん食のプロフェッショナルまで、誰もが気軽に立ち寄れる雰囲気がありました。
ほかにないなら、自分でやってみよう。田中さんの決意とともに、2001年、「キッチンパラダイス」はオープンしました。

「家事問屋さんは、最初の展示会でも目を引きました。昔から使われてきた道具に新たに光を当て、新しいセンスで提案されていたんです。国産の質の良さを一般家庭にしっかり広めたい、という熱い意気込みを感じ、これまでになかった新しさだと思いました。
ただ、じゃあすぐにお取引を始めたかというとそうではありませんでした。
シンプルで実直なアイテムだからこそ、数点並べるだけでは、手に取ってもらうのは難しいかもしれない。きっとシリーズでどんと見せてこそ良さが伝わるはずだと思い、まずはわたし自身がいくつも試してみることにしました」
たくさんのなかから選び抜いたキッチン道具。今回は、田中さんが特に「手放せない」と感じているアイテムを教えていただきました。
小ぶりでも機能は本格派、サイズ感が「ちょうどいい」泡立て器

「毎日のように活躍するのが『スリム泡立て』。お客さまにも好評で、当店でもかなりの数が出ている人気アイテムなんです。
泡立て器というと、生クリームを泡立てるようなお菓子作りのイメージが強いですが、これは卵を溶く、ドレッシングを作るといった、“ちょっとかき混ぜる”ときに気軽に使えます。細長いかたちのおかげで、計量カップのなかで調理が完結でき、周囲に飛び散る心配もありません。
ホットケーキの生地くらいならこれでじゅうぶん。ワイヤーの本数が多く、一本一本が太くしっかりしているので、小ぶりだけど頼もしいんです。仕事柄、6本ほど泡立て器を持っていますが、パッと手が伸びるのはこれですね」
実は便利な隠れた名品、ベーコンプレス

「あまりなじみのない道具かもしれませんが、隠れた名品なのが『ベーコンプレス』です。カリカリベーコンを焼くのはもちろん、特におすすめしたいのは鶏肉をグリルするとき。ぎゅっとプレスして焼くことで、皮がパリッと仕上がります。
重石で肉が平らになるので、火の通りも均一に。鶏肉をおいしく焼くのは意外とコツがいりますが、これがあれば生焼けを防ぎながら、旨味を残した絶妙なタイミングで火から上げられるので重宝しています」

「縮みやすいとんかつを少ない油で焼くときや、チヂミをカリッとさせたいときにも。ほかにも、ひっくり返してフライパンで簡易の蒸し台として小さな茶碗蒸しを作ったり、ロールキャベツを煮込むときに落とし蓋代わりにしたりと汎用性が高いんです。
店頭に売っているのを見ただけでは、なかなか『これが欲しかった!!』とは思いづらいかもしれませんが、手元にあると意外といろいろ活躍するアイテムです。こういうちょっとニッチだけれど、実は便利なアイテムが揃うのも家事問屋さんならではの魅力ですね」
使いやすい、洗いやすいから出番が増える

「『パンチングかすあげ』も手放せません。本来のある揚げ物用としてはもちろん、それ以外の用途でも大活躍です。
たとえば朝ごはん作り。これ一本で、味噌汁の出汁をとったいりこを引き上げ、トマトをのせて湯むきして、最後にゆで卵を取り出す……。たまにしか作らない揚げ物のためだけなら100円ショップのものでも良いと思うかもしれませんが、日に3度も手にする道具なら、やはり頑丈で洗いやすく、長く使えるものを選びたいですよね」
長く使い、生活に染み込む道具だからこそわかることがある

26年にわたり、キッチン道具を通じてたくさんのお客さまと向き合ってきた田中さん。「料理は生活の一部であると同時に、暮らしを動かす力がある」と話します。
「お店を長く続けるなかで、お客さまのさまざまな変化を感じてきました。それまでコンビニ食中心だった方が、子育てを機に食の大切さに目覚めたり、ご家族の不調をきっかけに、食べることが命と健康を支えているのだと実感したり。
料理をすることは、単にお腹を満たして栄養をとるだけではないんですね。つくることが家族を大切にすることにもなるし、自分のこころを手当てすることにもつながります」

「だからこそ、キッチン道具は良いものを選んでほしいです。道具ひとつで、『この作業ってこんなにラクだったんだ』『料理って楽しかったんだ』と思えるようになる。それも道具のおもしろいところだと思います。
家事問屋さんの道具は、どれも誠実に、しっかり作られているからこそ、5年、10年と使い込んでいけます。いつの日か、使い込まれた道具を見て、『これでたくさん料理をしてきたな』と振り返るとき、その記憶は自分自身を大切にしてきた時間そのものとも重なるかもしれません。
それこそがまさに、『暮らしを支える道具』なのだと思います」
読みもの登場製品

スリム泡立て
価格:1,650円(税込)

ベーコンプレス
価格:3,960円(税込)

パンチングかす揚げ
価格:1,430円(税込)












