読みものcolumn

【わたしの家事問屋vol.7】足し算より引き算。肩の力を抜いてくれた、シンプル調理を支える道具

文/藤沢あかり


祖父が編んだ寒竹ざる。パッチワークが得意な母お手製のタペストリー。長く使えるようにと選んだお気に入りのソファやダイニングテーブルでは、小学生の姉妹がくつろいだり、宿題をしたりしています。

その様子を眺めながらキッチンに立つのが、kagoさんの日常です。

「家族みんながホッとできる場所に」と話す住まいには、長く使い続けてきたものや思い出の品、手仕事の道具など、ずっと大切にしたいものだけが並んでいます。

「生活用品は、自分たちの“暮らしそのもの”を作っていくもの。使い捨てや間に合わせのものを選ぶより、家族の温度を感じるものや、心が落ち着くものに囲まれていたいです。そのほうが、わたしも生活を楽しめる気がします。

食べることが大好きなのでお料理も好きです。でも得意とは言えず、むしろ苦手意識を持っていました。でも、あるときふと、『シンプルでいいのかもしれない』と気づいたんです」

そう話すkagoさんが選ぶ、家事問屋の道具。シンプルな暮らしにシフトしていく支えとなった、お気に入りを教えていただきました。

手をかけ過ぎないでいいと教えてくれた、蒸しかご

初めて手に取った道具は、『蒸しかご』。蒸し料理といえば、「せいろ」だけれど、カビたらどうしよう?とお手入れがちょっと心配です。手持ちの鍋で使えるのか、なにから揃えたら良いのかと、考えればキリがありません。

「この蒸しかごは、いつものフライパンで気軽に使えるのが決め手でした。ステンレスだからお手入れも気にせずゴシゴシ洗えるところも助かります。

シュウマイや肉まんも、これで温め直すとほかほか、ふかふかに。いちばん活躍するのは、野菜を蒸すときです。さつまいもやとうもろこし、ブロッコリー、かぼちゃ、にんじんなど野菜ならなんでも。枝豆も茹でるより蒸したほうが濃くておいしいです」

「蒸し野菜はシンプルに塩で食べたり、かつおぶしとマヨネーズをかけたり。子どもたちも、よろこんで食べてくれます。新鮮な野菜は、凝った調理をしなくても蒸すだけでおいしいんですね。

いままで料理に苦手意識があったのは、子どもが食べるようにああしよう、こうしようと手をかけることばかり考えていたからかもしれません。それに気づけたのは、この蒸しかごのおかげです」

蒸し野菜は、多めに作ってお弁当のときにも活躍しています。

「お弁当も、難しく考えないようになったら無理なく続けられるようになりました。きれいに、たくさんの種類を詰めようとしなくても、肉か魚を焼いて、あとは卵焼きと蒸し野菜。曲げわっぱのお弁当箱ならざっくり入れてもさまになるので助かっています」

いつものパンがごちそうに。時短でおいしいホットパン

「お弁当といえば、ホットサンドを持っていく日もあります。『ホットパン』なら短時間で耳はカリッと、中はふんわりできて、とにかくおいしいので、家族みんなの大好きな味です。

以前使っていた電気のホットサンドメーカーは、余熱だけで何分もかかっていましたが、これならすぐ。IHコンロで使えるというのもうれしかったです」

「簡単にパーツが外せて、丸洗いできるところもお手入れしやすく気に入っています。電気のホットサンドメーカーは、細かいところにパンくずが入っても洗えないのが気になっていたんです。 

平日はごはんを食べることが多いので、休日のパンはちょっと特別。大好きなパンをおいしく食べられるし、作りはじめると子どもたちが焼き上がりをわくわくしながら待っています。

お気に入りは、チーズとトマト、レタスを入れたサンドイッチ。付属のレシピブックも充実していて、いろいろ試したくなりますが、パン自体がおいしくなるのでチーズとハムだけでもいいし、冷蔵庫にあるものを組み合わせたシンプルな具材でも贅沢な味になります。

また先日、いただいたたい焼きを試しにホットパンでリベイクしてみたら焼きたての味に!とっても美味しかったです。」

シンプルな食事を支えてくれる、家事問屋の道具

 いまのシンプルな食生活にたどり着いたのは、ご自身の体調不良がきっかけでした。

「熱をよく出すようになり、病院に行っても原因が分からず……。続く不調に、食生活を見直そうと思い立ちました。自分なりにいろいろ調べ試行錯誤をしながらたどり着いたのは、からだにやさしいものはシンプルだという考え。

漢方や薬膳などの中医学、アーユルヴェーダなどでは、足し算よりも引き算なんですね。それまでのわたしは、『からだにいいものを、どんどん足そう』としていたんです」

食事をシンプルにすることで、いつの間にか体調はすっかり良くなりました。調理方法が変わると、道具の選び方も変わり、しだいに暮らし全体にも変化が生まれます。

料理に感じていた負担も、ぐんと軽くなりました。近くの直売所で買える新鮮な野菜は、値段もおいしさも栄養も、いいとこづくめ。子どもたちも素材が持つおいしさを知り、家族みんなの笑顔も増えました。

「これまでは、あれもこれもやらなくちゃって、頭がいっぱいになっていたのかもしれません。いまは道具に助けてもらっている感じです。自分にゆとりが生まれると、周囲にもやさしくいられるし、子どものこともしっかり見られるようになった気がします」

足りないものに注目して補うよりも、すでにあるものを大切に。「足し算より引き算」の考えが、すこやかに、そして楽で、楽しいほうへと運んでくれているようです。

読みもの登場製品

ホットパン(レシピBOOK付き)

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