読みものcolumn

【ニイガタ便り】第2話:新潟・黒鳥の枝豆を後世へ。枝豆農家の新たな挑戦

文/松永 春香


金属加工品の産地、新潟・燕三条。家事問屋はこの地に「産地問屋」として生まれ、作り手(工場)と共に歩んできました。

新潟は、海、山、川に囲まれた自然豊かな土地で、夏は暑く冬は雪に閉ざされる。四季の変化がはっきりした風土で、金属加工以外にもさまざまな魅力溢れるものがあります。

この読みものでは、そんな「わたしたちの好きな新潟」を発信していきます。家事問屋が、少しでも新潟の魅力をつなぐ存在になれたらうれしいです。

新潟といえば、米どころのイメージがありますが、枝豆も新潟が誇る名産品のひとつです。暑い夏には飲食店、家庭でも、とにかく「枝豆」をよく食べます。

枝豆の作付面積は新潟が全国一位。しかし全国的に見るとあまり知られていないことには理由があります。

今回は、枝豆の名産地・新潟市西区黒鳥地区で枝豆農家を営む「黒鳥枝豆研究所」を家事問屋スタッフの松本が訪問してきました。

代表の本間さんは、農業の高齢化問題・後継者不足に注目し、若手生産者の意欲を高めるために、農業の魅力を発信する情報拠点として2021年に「farmer’s kitchen BLACKBIRD」をオープン。

本間さんが抱く産地への想いや農業の未来について、枝豆の収穫体験をさせていただきながらお話を伺ってきました。

新潟の枝豆はおいしい。枝豆の産地、黒鳥地域

──私もそうですが、新潟県民は枝豆好きの方が本当に多いですよね。

本間さん:新潟の枝豆はおいしいので、生産者は出荷せずに家族や知人とたくさん食べてしまう習慣があります。新潟県民は枝豆が好き。作付面積は全国1位であるにも関わらず、出荷量は7位となるのも納得ですよね。

新潟の枝豆がおいしい理由は、大豆を未熟な状態で収穫しているから。他県では見た目のいい、しっかりと実った状態で収穫されるのが一般的ですが、新潟の枝豆はうま味を最高の状態で味わえるように、あえて7〜8割程度育ったら収穫しています。

▲春から夏にかけて植える小さな枝豆の苗。品種もさまざま

──夏は、おやつや夕食、来客のおもてなしにと、さまざまな場面で枝豆が登場するのが幼少期のおなじみの光景でした。私自身も親になった今、自然とそうしています。おかげで子どもは枝豆が大好物です。

本間さん:うちの家族も一緒ですよ。それが新潟の夏ですよね。
2023年7月には、新潟日報みらい大学2023年度「にいがた 農の未来」特別講座で「親子で枝豆収穫体験」を行いました。農業と観光は相性がいいですし、体験型の企画は今後も積極的に開催したいなと考えていて、現在模索中です。

──それは素敵な取り組みですね!大好きな枝豆ですが、収穫するのは今回が初めてでした。スーパーで並んでいるものは既に摘まれているものが多いので、枝豆がどのように育つのか、子どもに見せられたのは初めてのこと。子どもに土の感触、本来の野菜の姿を見せられるのは、とても貴重で大切な経験だと感じました。

本間さん:それができるのが、産地の良さです。
私たちは毎年10〜12種類の枝豆を栽培していて、大体6月中旬頃から4カ月ほどかけて収穫を行っています。

「farmer’s kitchen BLACKBIRD」のパンやシェイクで使用する枝豆には、試行錯誤の末、加工した時においしく、きれいな緑色が表現できるように「肴豆(さかなまめ)」と「いきなまる」という品種をブレンドしています。

香りと甘みのバランスが良い肴豆は、個人的に一番おいしいと感じている品種。自慢の枝豆を、ぜひシェイクやパンでも召し上がってください。

▲畑で収穫した枝豆を使ったシェイク。枝豆の風味が口いっぱいに広がる

「地域」と「農業」をつなぐ、新しい農家のカタチ

──「farmer’s kitchen BLACKBIRD」をオープンされたきっかけは、どんなことだったのですか?

本間さん:農業は生産者の高齢化が進み、深刻な後継者不足です。新規就農者を育てること、作業を集約化していくことを考えて新しく始めたのが「farmer’s kitchen BLACKBIRD」でした。

農業に興味を持ってもらうためには、ただ「農家になりませんか?」と聞くだけでは意味がありません。
農業には収穫の喜びはありますが、自分たちの作ったものが人々に喜ばれているのかどうか、その反応を確かめる機会は滅多にないことに気付きました。「おいしかった!」「ありがとう、ごちそうさま」というお客さんからの声は、作り手の後押しになります。その喜びを若い世代にも感じ取ってもらえるのが「farmer’s kitchen BLACKBIRD」です。

オープン後、おかげさまで若手生産者が2名増えました。大きな前進です。

──燕三条の工場も同じく、高齢化・後継者不足には頭を抱えています。私は燕三条で生まれ、周りの大人たちは工場に勤める方だらけだったので、工場の皆さんに育てられたも同然だと思っています。家事問屋というブランドを続けていくことが、産地が続いていくことのきっかけの一つになりたい。この想いは親孝行のような気持ちに近いかもしれません。

▲「farmer’s kitchen BLACKBIRD」には、自社で加工した枝豆のパンなどが並ぶ
▲収穫したばかりの枝豆や地域の野菜を販売

「地域コミュニティ」と「農業」のこれから

──「farmer’s kitchen BLACKBIRD」には若い方々、子ども連れのファミリー、近所のおばあちゃんまで世代を問わず人々が集まっていますね。角田山や弥彦山を望む、最高のビュースポットで枝豆を加工したオリジナルメニューを味わってみたり、自家栽培の農産物を購入したり。幅広い過ごし方ができるのも魅力ですね。

本間さん:ありがとうございます。ずっと黒鳥地域に道の駅のような、地域コミュニティの場を設けたいと思っていました。「農家がやっていることをもっと認めてほしい」という気持ちも強くあります。

農家で生まれ育った子どもたちからは、「小さい頃、親の職業が恥ずかしくて友達に言いにくかった」というエピソードをよく耳にするのですが、私もその一人でした。しかし、暮らしに欠かせない食を支える農業は、ダイレクトに人のためになれる、やりがいのある仕事です。農家の子どもたちが「うちの親はこんなにかっこいいファーマーなんだよ!」と言える未来を作っていきたいです。

▲テラス席では、新潟の風景を一望しながら飲食を楽しめる

農業に従事している私たちはメーカー。何だってなれます。売る力を持ったらディーラーになれて、加工ができたらレストランにもなれる。実は、農業っていろんな発想で形を変えられる職業なんです。だからうちは自家製小麦を作ってパンを焼きますし、そこに入る具材も、自分たちで育てた枝豆や旬の野菜を使っています。

新潟市の中心部から離れた田舎町ですが、これからも「こんなことをやってるの!?」とみなさんの度肝を抜くような挑戦を続けて、枝豆を主役に、人々の興味関心を掴んでいきたいです。

業種は違う農業と金属加工ですが、私たちには新潟の誇るものを届けるという共通点があります。新潟のものづくりという大きな枠では家事問屋と同じ「黒鳥枝豆研究所」「farmer’s kitchen BLACKBIRD」さん。
これからも互いに切磋琢磨しながら、新潟を盛り上げて後世に残していけたらいいなと思います。

「黒鳥枝豆研究所」さんの枝豆2キロを、3名様にプレゼント

取材にご協力いただきました「黒鳥枝豆研究所」さんの枝豆2キロを、抽選で3名様にプレゼントいたします。新潟が誇る、旨味たっぷりの枝豆を産地直送便でお届け。
皆さまからのご応募、お待ちしております。


■応募方法
1、「お問い合わせフォームにて、必須項目を入力してください
2、「お問い合わせ内容」の欄に【枝豆プレゼント応募】と入力してください
3、「送信する」をクリックで応募完了

■応募期間
2023年8月9日(水)10:00 ~ 8月18日(金)23:59まで

■応募条件
メールでやり取りしていただける方

■賞品
枝豆(黒鳥の茶豆)2キロ
※クール便で配送いたします

■当選人数
3名

■当選者発表方法
・当選者の方には8月22日(火)までにメールにてご連絡を差し上げます。
・当選連絡後、期日までにご返信をいただけなかった場合は当選が無効となります。
・賞品は8月末頃までの発送を予定しております。(お届け日指定不可)




〈店舗情報〉
farmer’s kitchen BLACKBIRD
住所:新潟市西区黒鳥648-1
営業時間:8時~15時
定休日:火曜、第2・第4月曜
    (5月10月は第5月曜)
HP
https://fkblackbird.base.shop/

Instagram
@farmers__kitchen__blackbird

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