読みものcolumn

開発ストーリー「てつまろが生まれるまで」

文/早見 真由美


日本人女性の4人に1人が、鉄欠乏性貧血だと言われています。
鉄分が不足すると疲れやすい、冷えを感じるなどマイナスなことばかり。

鉄分が不足する理由は色々ありますが、昔は鉄瓶や鉄フライパンなどの調理道具からも鉄分を補っていました。ライフスタイルの変化からそれらの使用頻度が低くなっているから、との見方もあるそうです。

そんなライフスタイルの変化に合わせ「もっと生活になじんで使いやすいものが欲しい」という開発担当者の熱き想いで誕生したのが「てつまろ」

「てつまろ」は、鍋などに入れてお湯を沸かすだけで簡単に鉄分補給ができます。既存製品の良さを継承し、今の暮らしに合わせて開発したストーリーをお届けします。

くらしに寄り添う「鉄」アイテムがほしい

「てつまろ」の生みの親は、開発担当の30代女性(以下担当者)。

「もともと、貧血気味でした。20代は若さでカバーできたけれど、30代になって疲れやすさを感じていました」

年齢と貧血による体調の変化を感じ、食事を変えてみたり、体を動かしてみたりと積極的に健康を意識した生活へシフトしていった担当者。

そんななか、貧血を改善するためには鉄分の補給が大切、ということに気づき、家に置いてあった鉄瓶で沸かした白湯を飲んでみました。

「甘くて、まろやかでおいしい。こんな簡単に鉄分補給ができるのはいいな」と感動し、しばらく続けたそうです。

しかし、時間に追われる毎日のなかで、鉄瓶を使いつづけるのは難しい。そこで次に使ったのが「てつまろ」開発のきっかけとなる既存製品。

既存製品はさまざまな形がありますが、鍋にいれてお湯を沸かすだけで鉄分が出てくる仕組みのもの。ステンレスやアルミ鍋でも使えます。

「これなら簡単に鉄分がとれる」と思いきや、鍋でアツアツになると取り出しにくい。しかもゴロンゴロンと転がってしまい、扱いにくい。

「もっと心地よく使える道具にしたい」
担当者の考える、使いやすくて生活になじむ鉄アイテムの開発がスタートしました。

モノ選びの基準「永く使えるシンプルさ」

仕事でもプライベートでも、モノ選びの基準は値段では判断せず「ちゃんと考えられてつくられているもの」「永く使えるシンプルさ」を大切にしている担当者。

鉄分補給のアイテムに需要が高いことは、既存製品からわかっていました。

「多くの方が必要としているものだからこそ、生活になじんで、かつ使いやすいものにしたい」

そんな想いを胸に、いつもお世話になっているデザイナーさんと地元企業の株式会社三条特殊鋳工所へ相談しました。

「生活になじむ」と「使いやすさ」

担当者の想いをカタチにしてくれたのがデザイナーの小泉 誠さん。家事問屋らしく、もっと使いやすいものにするために、要望を3つお伝えしました。

「表面積を広くして、出来るだけ鉄分が出やすいように」
「箸で取り出しやすく、タコ糸も結びつけやすい形」
「鍋の中でゴロゴロ転がらない形」

小泉さんからの提案は、手の平にコロンと乗るサイズで縁に傾斜がついたドーナツ型。

箸置きにも使えそうなサイズですが、ドーナツ型にしたことで開発者の要望がすべてクリアされました。

▲デザイナー小泉さんから提案されたドーナツ形

まず、真ん中を穴のあいたデザインにすることで表面積を確保しつつ重すぎない。中心にお箸を通すことで簡単に取り出すこともできます。

また、鉄は高温になるのでタコ糸で結べば取り出しやすく、しかもフックにかけて乾燥もできる。

そして中心の穴と縁の傾斜が、沸騰のときに発生する気体の泡を上へと逃がすのでゴロゴロ転がることもなくなりました。

担当者の要望をすべて満たした機能性の実現と、小泉さんがこだわる彫刻的に美しいデザイン。

この二つの要素が合わさり、今のライフスタイルになじむシンプルな見た目と使いやすさも実現した「てつまろ」が完成しました。

「てつまろ」の名前は、“鉄”で“まろ”やかに…。そんな想いで付けました。

毎朝「てつまろ」でつくった白湯を飲んで。会社用はマイボトルへ。
今日も担当者の一日が始まります。

▲タコ糸を結びつけやすいドーナツ型
▲中心の穴と傾斜で、お箸がちょうどよく収まり、さっと取り出しやすい
▲縁の傾斜は転がり防止や、持ちやすさなどが計算されている
▲手のひらサイズなので、収納も場所をとらない

「てつまろ」と永く付き合うために

鉄製の「てつまろ」は、湿度の高いところでの保管はサビの原因になります。
そこで、永くお付き合いいただくために、使い方とお手入れのポイントをご紹介します。

[使い方]
白湯をつくる/ケトルや鍋に「てつまろ」を入れてお湯を沸かし、沸騰したら「てつまろ」を取り出してください。

汁物やごはんにも/料理の味に影響しないため、味噌汁や炊飯、スープを作るときに一緒に鍋にいれて使います。できあがったら取り出してください。

黒豆煮や茄子漬けに/黒豆と一緒に煮ると、鉄と黒豆のアントシアニン色素が結びつき艶のある仕上がりに。ぬか床に入れると色鮮やかな茄子漬けをつくることができます。

▲黒豆を煮る時に一緒に鍋に入れると、黒々とツヤのいい仕上がりに
▲ぬか床に入れておくと茄子の色がツヤツヤの紫に漬かる

[お手入れ]
取り出したら布巾やキッチンペーパーなどで水気をしっかり拭き取ってください。塩分のあるお料理に入れたときは、流水でよく洗って乾燥させてください。

更に気になる方は、ジップロックなどで保存して空気に触れさせないことがポイントです。

※サビは体内に入っても問題ありませんが、気になるときは、たわしなどでサビをしっかり取り乾燥させてください。

生活に必要な道具を、今の暮らしに合わせリデザインして誕生した「てつまろ」

「てつまろ」から溶け出る鉄分は「二価鉄」と呼ばれるもので、「三価鉄」より身体への吸収率が高く、鉄分補給に効果的です。

毎日、手軽に使うことで健康に目を向けるきっかけに。
日々の暮らしのなかで、ちょっとお役に立てれば幸いです。

読みもの登場製品

てつまろ

価格:1,320円(税込)

pagetop