読みものcolumn

開発ストーリー「筒型茶こしが生まれるまで」

文/金子 美貴子


いつでもどこでも自分の好きな飲み物を楽しむことができ、節約や環境配慮にもなることから、すっかり定着しているマイボトル文化。さまざまなタイプの水筒やタンブラーが増えています。

そんなマイボトル派に好評いただいているのが「筒型茶こし

水筒やタンブラーに直接セットできる茶こしで、たっぷりのお茶を手早く淹れられる製品です。急須やティーポットからマイボトルにお茶を移し替えるという一手間が不要だから、忙しい朝に重宝します。

さまざまなサイズの水筒やタンブラーはもちろん、大きめのマグカップや湯呑み、麦茶用のポットなどに幅広く活用できます。底が平らで自立する形状も便利です。

丈夫な網を採用しているため、ゴシゴシ洗ってもヘタらず、しっかり洗えて清潔に使えるのも安心です。

今回は、ものづくりが大好きな開発者の情熱と工夫から生まれた「筒型茶こし」の開発ストーリーをご紹介します。

「深型茶こし」の開発中に生まれた「筒型」の発想

「筒型茶こし」を開発したのは、2013年に中途入社した女性社員。高校卒業後、大学で工業デザインを学び、前職では家具のデザインを行っていました。

「子どもの頃からものづくりが好きで、ほしいものがあるときは、『親に買ってもらおう』ではなく、『自分で作ってみよう』と考える子どもでした。リカちゃんハウスから、大きなものはベッドまで(笑)、段ボールなど身近にあるものを使っていろいろなものを作っていました」

そんな彼女は、当社に入社してからもものづくり一筋。家事問屋の立ち上げ時からのメンバーで、製品開発以外にも、ブランドロゴやウェブサイト、製品リーフレットなどのデザインから製品紹介の動画編集まで、家事問屋の制作物全般に関わってきました。

彼女は、もともとコーヒーが苦手で、お茶、それも茶葉の香りが大好きというお茶党。2019年に、マグカップに直接セットして使える「深型茶こし」を開発しました。

「実は、『筒型茶こし』のアイデアは、『深型茶こし』の開発を進めている最中に生まれたんです」

「深型茶こし」が完成すると、早速「筒型茶こし」の開発に着手したのでした。

綿密なリサーチと研究を重ね、使い勝手の良さとデザイン性を追求

忙しい朝に、急須やティーポットに作ったお茶を水筒やタンブラーに移し替える一手間は面倒なもの。「水筒に直接セットして使える茶こしを作れないか?」という発想から生まれたのが「筒型」のアイデアでした。

しかし、それまで市場にあまりない製品だったため、使いやすい「筒型」の形状を一から研究することに。

「市場で売れ筋の水筒をリサーチして、水筒の内口径を一つひとつ実寸調査しました。お店の水筒コーナーを何度もウロウロしたりしてちょっと怪しかったと思います(笑)。汎用性の高い口径サイズを模索していたのですが、人気製品を調査した結果、最終的に内口径が3.8cm以上のボトルに対応するようにしました」

▲さまざまなタイプの水筒の内口径サイズを調査

そして網の製作を得意とする工場、ミネックスメタルに相談。筒型の茶こしは、その前に手掛けた二重網の「深型茶こし」とは作り方が全く異なり、ミネックスメタルではそれまでやったことのない技術が必要であることがわかりました。それでも新しい挑戦に意欲的なミネックスメタルが「やってみましょう!」と快諾。

「挑戦してくれるだけではなく、家事問屋らしいスタイリッシュなデザインを実現する提案もしてくれて、うれしかったですね。かなり難易度の高い加工技術が必要だったので、開発期間は通常半年のところ2年ほどかかりましたが、納得のいくものを作ることができました」

試作品のチェックでは、毎日のように使うことを考慮して、「耐久性」と「洗いやすさ」を改善。網を丈夫なものにし、リングと網をつなげる部分の溶接箇所を増やして強度をアップ。「深型茶こし」の開発で得たノウハウが細部にわたって生きました。

▲リングのデザインは、持ち手と一体化したものなど数パターンを検討
▲持ち手は、熱くなりにくいように別付けにし、少し長めにした
▲特に難易度が高かったのが、網の接合部分を覆う加工

幅広いサイズの口径と深さに対応

「お茶を淹れる時の楽しみは、 好きな茶葉を缶から出すときに、茶葉の香りを嗅ぐこと。ティーバッグにはない楽しみなんです。『筒型茶こし』は、ハーブティーなど好きな茶葉を好みのブレンドで楽しむことができますし、お茶を淹れる時に立ち上る茶葉の香りをしっかり楽しむことができます」

深さがあるため、茶葉が十分に浸かりお湯の中で踊ることで、お茶のおいしさをしっかり抽出します。水出しのお茶にも活用できます。

また、直径3.8cmというサイズは、さまざまな水筒、タンブラー、背の高いマグカップや湯呑みなど、一般的なボトルや容器に幅広く対応する大きさなので、いろいろなシーンで活躍してくれます。

自立する形状なので、茶葉を入れる時や取り出す時に、受け皿などの上にさっと置けるのも便利です。

▲長さがあるため、たっぷりのお湯の中で茶葉が踊り、しっかりと開く
▲背の高い湯呑みやマグカップにも直接セット
▲持ち手が長く、口の広い容器にも使いやすい

「ものづくりが好き」。シンプルな思いをベースに、工場と二人三脚

子どもの頃からものづくりが好きで、仕事もものづくり一筋の「筒型茶こし」開発担当者。彼女が製品開発の際に心掛けていることは、「常に使い手を具体的にイメージすること」と言います。

「イメージと言っても、実際に自分が知っている特定の個人の方が多いです。その人がどんな生活スタイルで、どんな仕事をしていて、その人にどんなシーンで、どんな気持ちで製品を使ってもらいたいか。そういうことを詳細に思い描くんです。今回は、水筒好きで、水筒をたくさん集めている女性社員の方が協力会社にいるのですが、その方をイメージして作りました」

また、現場とのコミュニケーションにもこだわりがありました。

「こまめに現場へ足を運んで、膝を突き合わせて、図面やイラスト、画像や類似商品などを駆使して、できるだけ細かいイメージを共有するようにしています。電話やメールだけのやり取りは苦手です。細かいニュアンスを伝えるのが難しいですから……。メールで長文をしたためている暇があるなら、現場に飛んでいった方が早いです(笑)。そういうことが可能なのが、産地にしかない強みだと思っています」

リアルでの丁寧なコミュニケーションを重視して、地道に培ってきた信頼の積み重ねが、作り手の意欲も引き出し、「筒型茶こし」の実現につながりました。

▲新しい技術にも意欲的に取り組んでくれる、協力会社ミネックスメタル

過程だけではなく、個人的な想いも大切にしています。

「製品の開発は、自分自身が企画するものだけではなく請負の仕事もありますが、どんな製品にも自分なりのお気に入りのポイントを必ず一つは入れるようにしています。せっかくやるなら自分が好きだな、楽しいなと思いながら仕事をしたいですし、想いを込めることでいいものができると思っています。筒型茶こしにも、人から見たらわからないような部分にもこだわりました」

また、彼女の仕事は、作って終わり、ではありません。発売後も、身近な人やネットでの口コミをこまめにチェックしています。なぜなら、家事問屋では既存の製品を常にアップデートしているから。たった1人の顧客から寄せられた意見を反映することもあります。家事問屋は、より良い製品にするため、一度リリースした製品にも改良を加え続けています。

▲持ち手の厚みや丸みなど、さりげないディティールに開発者の美意識やこだわりが詰まっている

常により良い製品づくりを念頭に置き、個人的体験を大切にした開発マインドから生まれた「筒型茶こし」

地道に培ってきた工場との良好なパートナーシップが職人魂を刺激し、難度の高い加工技術への新しい挑戦によって、2年かけて市場になかった製品を実現しました。

水筒やタンブラー、マグカップなどにも直接セットできるため、急須やポットから移し替える必要がありません。自分が好きなお茶を持ち歩きたいマイボトル派にとって、忙しい朝の強い味方です。

幅広いサイズの容器に対応する汎用性の高さや、扱いやすい自立形状も大きな魅力。

「筒型茶こし」で、いつでもどこでも好きなお茶を楽しめるマイボトル生活を快適に楽しんでくださいね。

読みもの登場製品

筒型茶こし

価格:1,980円(税込)

pagetop